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柱に印をつける身長記録の、デジタル版

【脇道】紫キャベツ汁とアルミホイルで絵を描く方法と、そのプレゼンス

絵を描きたい!!

 

でも手元に紫キャベツと水と、鍋とコンロと包丁と、濾紙とアルミホイルと割り箸と、鰐口クリップ付きケーブル(x2)と電池(単三)と電池ボックス(単三)と、あと紙皿とできればウェットティッシュしかない!って時、ありますよね。

 

  

描けます。

 

絵、描けます。

what is this?

子供向け実験イベントで使える実験ネタです。

小学1~6年生あたりがターゲットです。

1. 実験の概要

紫キャベツ液を浸した濾紙を、「電気ペン」でなぞると絵が描けます。

ぶっちゃけ結構有名なこども実験です。

2. 準備物

  • 紫キャベツ:適量

  • 紙皿:参加人数分

  • 紙皿と同じサイズの濾紙:参加人数分より多い数

  • アルミホイル:参加人数にもよるけど、一人当たり0.5mくらいかな?

  • 割り箸:参加人数分

  • ワニ口クリップ付きワイヤー:同時に実験する人数分 x 2

  • 電池・電池ボックス:同時に実験する人数分

3. 手順

事前準備

1. 紫キャベツ液を作る

紫キャベツを千切りにして、煮込みます。

キャベツの覇気が完全に無くなるまで煮詰めたら、ザルで濾して紫液を作ります。

2Lペットボトルとかに入れて持っていきましょう。

当日:

2. アルミホイルを丸く切る

参加者に、濾紙・紙皿より少し大きいサイズで丸くアルミホイルを切ってもらいましょう。

子供一人当たりの時間を短縮したい場合は事前に準備しておきましょう

3. 紫キャベツ紙を作る

1.で作った紫キャベツ液は、ボウルなどに出しておきましょう。

参加者には、紫キャベツ液に濾紙を浸して、「紙皿→アルミホイル→濾紙」の順番で重ねてもらいましょう

4. 電気ペンを作る

参加者に、割り箸にアルミホイルを巻きつけてもらいます。

この時、ペン先になる部分は必ずアルミホイルに覆われるようにしてください。

5. 電池を接続する

紙皿のアルミホイル→電池→電気ペン

の順番で配線しましょう。

電池の+ーはどっちでもいいです。

あと、必ず電気ペンとアルミホイルは接触させないようにしてください

溶けます

6. 絵を描く

濾紙に電気ペンをそっとなぞらせると...

なぞったところの色が変わり、絵が描けるようになります。

片付け

7. 回収する

電池と鰐口クリップ付きワイヤーは回収しましょう。(参加人数が少ない場合は、予算が許すならあげちゃっていいかもね)

8. あげる

それ以外で子供が欲しがったものはあげましょう。

意外とみんな欲しがります。

ただし、描いた絵は数分で消えるので気をつけて

9. 綺麗にする

紫キャベツ液でビッチャビチャになります。

拭きましょう

4. プレゼンス

子供には、最良の科学体験と、それに付随する学び体験をしてもらいたいものです。

そのために、この実験の軸と、どう説明するかの指針を紹介します。

実験の軸

この実験の軸となる知識は、

「キャベツ液はpHで色が変わる」 「pHは水素イオンと水酸化物イオンの濃度で決定する」 「各イオンは電圧で分布をコントロールできる」

の三つです。

実験をオーガナイズする我々はこれをしっかり理解しておきましょう。 (筆者もぶっちゃけ化学は高校レベルで止まってるんで。。。甘いところは許して、詳しくは自分で調べて❤️)

「紫キャベツ液はpHで色が変わる」

紫キャベツの液にはアントシアニンという色素が含まれています。

この色素は、周囲のpHに合わせて構造が変化した結果、吸収する波長が変化し、色が変化します。 (私は化学畑じゃないんで理解が甘いかもしれませんが....) https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/79/3/79_113/_pdf/-char/ja

吸収する波長が変化すると、人の目に飛び込んでくる波長が変化し、色が変わって見えます。

「pHは水素イオンと水酸化物イオンの濃度で決定する」

ここで、色変化のキーになるpHについて、掘り下げましょう。

pHとは、すなわち「H+の濃度」と「OH-の濃度」です。

んで、この二つは、表裏一体です。

「H+の濃度」と「OH-の濃度」を掛け合わせた値は常に一定になります。

pHとは、この「OH-の濃度の高さ」(=「H+の濃度の低さ」)を表す数値になります。

具体的には、- Log10 (<H+の濃度>) です

 

H+が多いとpHは下がり、アントシアニンは赤くなります

OH-が多いとpHは上がり、アントシアニンは青くなります

「各イオンは電圧で分布をコントロールできる」

ここで、pHの鍵となる、H+、OH-をよくみてみましょう。

+とーがついてますね

これ、電気の+とーです。

  

すなわち、電圧をかけると、電圧の高い方にOH-が、電圧の低い方にH+が引き寄せられます。 (マクスウェル方程式を解こうね)

そして、OHーが多いとpHは上がり、H+が多いとpHは下がる......

  

すなわち、アントシアニンの色が変わります。

  

  

すなわち、絵が描けます。

説明の指針

前提として、「どこまで子供が理解できているか?」をしっかり理解しましょう。

多くの場合、こっちが子供を甘組み過ぎているケースが多いです。

出会ったことある、一番すごい子供は、小学生でイヤホンの仕組みを説明できました。

 

子供ナメんな

キーポイント:色が変わったのはどうして?

この実験で体験する現象は「色が変わる」です。

この現象を理解し、アウトプットし、プラス1をインプットすることで、良質な科学体験を獲得させましょう。

「色が変わる」の現象は、先の節でレイヤーに分けて説明しました。

  

あとは、このレイヤーをできるところまで子供に説明させましょう。

そして、説明できなかったその一つ先まで、ゆっくり説明してあげましょう。

最後には、子供は絶対理解してくれます。

子供ナメんな

まとめ

この実験、常にキャベツの変な匂いするから不快です。

よかったらやってみてね